社会変革のための
プロジェクト
- 2026/09/20
障害者の働く機会と、電子ゴミ問題。2つの課題に事業で挑む「こころざし」経営

パソコン修理から、世界平和へ。人と資源の可能性を信じる経営者の挑戦

一台のパソコンが、少年の人生を変えました。
友達ができた。
誰かの役に立てた。
「ありがとう」と言ってもらえた。
自分にも、価値がある。
そう思わせてくれたパソコンが、世界のどこかでは電子ゴミとなり、人や環境を傷つけていました。
自分にとっての希望が、誰かを苦しめている。
奈良県でパソコン専門店と就労継続支援B型事業所を運営するクロスインテクノ株式会社の辻内諭さんは、その現実から目をそらせませんでした。
「人も資源も可能性も捨てない社会をつくる」
その志は、働きづらさを抱える人の可能性と、使われなくなった資源を結びつける挑戦へとつながっています。
「ありがとう」が、自分の価値を教えてくれた

幼い頃、仲間外れにされ孤独を経験していた辻内さんは、自分に自信がなく、価値がないと思っていました。
転機は中学3年生。パソコンとの出会いでした。
使い方を覚えると、友達から教えてほしいと頼まれるようになりました。
教えると、「ありがとう」と返ってくる。
自分にも、人の役に立てることがある。
パソコンは、人とつながり、自分の可能性を感じさせてくれる希望になりました。
そして、30歳の時にパソコン事業で起業をしました。
過去の自分のような働きづらさを抱える人の力になりたいという強い想いがきっかけでした。
パソコン事業では、これまで約5万台のパソコンやスマートフォンの修理・サポートを手がけています。
その経験と就労支援が、一つの事業としてつながるのでした。
二つの事業が、一つの志でつながった

「事業を通じて社会課題を解決する」
その考えに触れたとき、それまで別々に考えていたパソコン事業と就労支援が、辻内さんの中でつながりました。
一方には、使われなくなったパソコン。
もう一方には、働く機会を必要としている人。
パソコンを扱ってきた技術を、資源の循環と、人が働く機会の両方に生かせないか。
その思いを強くしたのが、電子ゴミの問題でした。
ガーナには「パソコンとスマホの墓場」と呼ばれる場所があります。
辻内さんは、電子ゴミの処理による環境汚染や健康被害、資源をめぐる人権問題への危機感を語りました。
家庭や会社には、使わなくなった機器が眠っている。
その一方で、新たな資源を求めて、人や環境に負担がかかっている。
この循環を、事業を通じてつくれないか。
そこで始めたのが、就労支援の中でパソコンのリサイクルに取り組むことでした。
「できるわけがない」と言われた人が、修理を担うまでに

取り組みを始めようとしたとき、否定的な言葉が向けられました。
「障害がある人に、そんなことができるわけがない」
まだ挑戦する前から、可能性に線を引く言葉でした。
辻内さん自身も、かつて自分には価値がないと思っていた一人です。
その自分を変えたのは、パソコンを通じて誰かの役に立ち、「ありがとう」と言ってもらえた経験でした。
人の力は、役割や機会との出会いによって、見えてくることがある。
辻内さんは諦めず、取り組みを続けました。
その結果、障害のある利用者が、パソコンの修理までできるようになったのです。
「できるわけがない」と言われた仕事を、今、その人が担っている。
使われなくなったパソコンに、もう一度役割が生まれる。
そして、それを修理する人の技術が、誰かの役に立つ。
資源の循環と、人が力を発揮する機会が、目の前でつながりました。
「私は現場で可能性が見えました」
その言葉を裏づける変化は、就労支援全体にも表れています。
2年半で12名が、A型事業所や一般就労へと進みました。
12名という数字の向こうには、一人ひとりが次の働く場所へ踏み出した歩みがあります。
かつてパソコンに自分の可能性を教えてもらった辻内さんが、今度は、誰かが力を発揮する機会をつくっている。
「人の可能性を信じる」という志は、現場で仕事を担う姿と、次の一歩を踏み出す支援として、形になっていました。
スタッフ全員が退職

ただ、事業を支える組織づくりは順調なことばかりではありませんでした。
就労支援のスタッフが全員退職する出来事が起こります。
引き継ぎの過程で苦しんだ社員もいました。
それでも、その社員が今、会社を支えてくれています。
いじめの経験もあり、人を信じることが苦手だった辻内さん。
ずっと一人で戦ってきたと振り返ります。
しかし、経営実践研究会での出会いや役割、会社での経験を重ねる中で、変わったことがありました。
「人を信じられるようになったということです」
一人で抱える経営から、仲間と共に未来をつくる経営へ。
その変化が、会社の外にも挑戦を広げていきました。
資源を大切に循環することを、地域の当たり前に

社内で取り組むだけでは、届く範囲に限りがある。
そこで辻内さんは、2025年、地域で資源循環のイベントを開催しました。
目指すのは、資源を大切にし、リサイクルすることが当たり前になる文化づくりです。
2026年には、JICA関西、奈良文化高校の生徒、大和高田市などと共に開催。翌年に向け、奈良県との連携の話も進んでいるといいます。
一社で取り組んでいた活動に、学校や行政、地域の人たちが加わっていく。
その光景を見て、辻内さんは、同じ思いを持つ仲間となら社会を変えられるという確信を深めました。
資源を回収し、障害のある人や高齢者などの仕事を生み出す。そこに資源、お金、人の循環をつくる。
その仕組みを磨き、全国へ広げようとしています。
未来へつながる世界平和の仕組みを次世代へ

辻内さんは、レアメタルの資源循環を通じて、紛争のない平和な社会を目指しています。
資源を循環させることが、奪い合いを減らす道になると信じているからです。
「私が生きている間に、世界平和は完成しないかもしれません」
それでも、次の世代、その次の世代へと、未来につながる仕組みと人を残していく。それが、残りの命を使う理由になると語ります。
かつて、一台のパソコンが、辻内さんに自分の価値を教えてくれました。
今度は、そのパソコンを通じて、誰かが力を発揮し、働き、未来へ進めるように。
人も、資源も、可能性も捨てない。
辻内さんは、その社会を仲間と共につくり続けています。
あなたの事業にも、社会を変える可能性がある

辻内さんの挑戦は、すでに持っていたパソコンの技術と、働きづらさを抱える人への思いが結びつくことで動き始めました。
そのきっかけとなったのが、経営実践研究会で出会った「事業を通じて社会課題を解決する」という考え方です。
経営実践研究会は、志ある地域企業が、学び、実践し、その取り組みを仲間や地域へ広げていく組織です。
何のために会社を経営するのか。
自社の技術や経験は、誰の困りごとを解決できるのか。
一社では難しいことも、仲間となら実現できないか。
そうした問いを通じて、経営者自身の在り方を磨き、社会的価値と経済的価値の両立を目指します。
「自分の仕事を、もっと社会の役に立てたい」
「志を共有し、本気で挑戦できる仲間と出会いたい」
辻内さんの物語に心が動いた方には、ぜひ触れていただきたい実践の場です。
辻内さんの言葉を、直接聞いてみませんか?

「日本の未来を創る 地域企業の挑戦」をテーマに開催されるソーシャルシンポジウムに、辻内諭さんが登壇します。
「できるわけがない」と言われた人が、パソコンの修理を担うようになるまでに、何があったのか。
一人で戦ってきた経営者が、仲間を信じ、学校や行政と共に挑戦するようになったのは、なぜなのか。
そして、人も、資源も、可能性も捨てない社会を、どう実現していくのか。
記事だけでは伝えきれない実践の過程と、その原点にある思いを、辻内さん本人の言葉で聞くことができます。
「自分の仕事を、もっと社会の役に立てたい」
「志を共有し、共に挑戦できる仲間と出会いたい」
「自社の隠れた強みや価値に気づきたい」
そんな方にこそ、触れていただきたい物語です。
辻内さんの挑戦から、あなたの事業でできることを見つけてみませんか。
▼開催概要・プログラム・参加申し込みはこちら
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【ソーシャルシンポジウム2026】
テーマ:日本の未来を創る 地域企業の挑戦
【大阪】辻内さん登壇!
日時:2026年10月18日(日)
会場:梅田スカイビル
【東京】
2026年11月21日(土)
有明セントラルタワーホール&カンファレンス
詳細・お申し込みはこちら
⇒ https://www.keijitsukai.jp/event/20261018so/
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