社会変革のための
プロジェクト
- 2026/04/20
地域と共に生まれる、新しい未来型コミュニティ「KIBOTCHAスマートエコビレッジ構想」(貴凛庁株式会社 三井 紀代子氏)

宮城県東松島市に拠点を置く貴凛庁株式会社が推進する KIBOTCHAスマートエコビレッジ構想。
この取り組みは、地域の復興や防災、そして持続可能な未来を見据えた新しい形の街づくりです。地域に根ざし、人々の暮らしを豊かにすることを目指すこのプロジェクトは、単なる施設開発ではなく「心に届く体験」を提供することで、地域社会全体の可能性を広げています。
代表の三井紀代子氏は、航空自衛官としての経験を経て起業し、2011年の東日本大震災を契機に宮城県東松島市へ移住。震災で受けた地域の甚大な被害と、そこから立ち上がろうとする人々の姿に心を動かされ、地域の希望を形にする施設「KIBOTCHA」を創設しました。名前の由来は「希望」「防災」「未来」という3つの言葉を組み合わせたもので、未来を担う子どもたちや地域の人々に「命の大切さ」と「生きる力」を伝えるという強い想いが込められています。
事例企業情報
- ・貴凛庁株式会社
- ・2018年設立
・活動エリア 宮城県
・代表者 三井 紀代子(みい きよこ) 氏
※本記事の内容は2025年6月の会員プレゼンテーション(CLミーティング)の動画をもとに作成しています。
廃校活用から始まった地域再生の挑戦

KIBOTCHAの拠点は、かつて地域の子どもたちが通った旧小学校。震災によって廃校となった建物を活用し、新たな学びと体験の場として生まれ変わらせました。地方の学校は、世代を超えた地域のコミュニティの象徴であることが多く、その力を借りて「地域全体の再生」を目指すことができるのです。
KIBOTCHAは大きく4つの事業で構成されています。日帰りの屋内パークやレストラン、ワークショップ、宿泊施設、グランピング施設、そして隣接する島でのアクティビティ。これらを通して、教育研修、防災サバイバルキャンプ、企業研修など、多様な学びと体験を提供しています。特に重視されるのは「ビジョンシェアリング」と呼ばれる地域イベント。地域の方々と共に場を作り、達成感を共有することで、単なる復興の物理的な回復に留まらず、心の復興も目指しています。

三井氏は語ります。「地域の方々と一緒に、絶望から希望へ。震災で失ったものを補い、再び歩む力を取り戻す。その場を私たちは作りたいのです」。この想いは、防災教育やサバイバル体験にもつながり、参加者が自ら体験することで防災力を身につける仕組みとなっています。無人島での釣りやバーベキューを通じて、自然の力や自分たちの行動がもたらす影響を実感できるのです。
DAO型運営で実現する「参加型コミュニティ」

KIBOTCHAスマートエコビレッジの特徴の一つが、DAO(自律分散型組織)による運営です。中央集権型の組織ではなく、地域住民や共感者が主体となり、街づくりに参加できる仕組みです。2024年4月に設立された「KIBOTCHAスマートエコビレッジDAO合同会社」を通して、誰もが自らの専門性や思いを持ち寄り、12の要素(食、エネルギー、水、住居、移動、人、医療、運営、通信、外部リソース、イベント、自然活用)を構築できる環境を整えています。
DAOの運営では、地域住民は単なる受け手ではなく、街の運営者、教承者となります。自分たちが主体的に参加し、行動を通じて社会課題解決に関わることができるのです。従来の社会変革は資金を集めて専門家が行うものでしたが、DAOでは誰もが参加でき、自らの手で希望を作り上げる社会が目指されています。さらに、独自の「希望所トークン」を発行し、貢献に応じた価値をトークンで還元することで、地域や参加者のモチベーションを循環させています。
また、外部企業との連携も重要な要素です。KIBOTCHAスマートエコビレッジに共感する企業がプロジェクトに参画し、役割を提供し合うことで、プロジェクト全体の透明性や持続可能性を確保しています。地域と企業、個人が一体となり、共に未来の街をつくるという新しいモデルです。
地域と共に描く未来の姿

KIBOTCHAスマートエコビレッジ構想の究極の目標は、全国の廃校や地域資源を活用して「安心して生命を守れる場所」「人生を再建できる豊かな場所」を作ることです。施設は、体験型防災エンターテイメントとしての顔と、緊急時に1万人を受け入れられる避難所という2つの顔を持ち、地域社会の安全と未来の学びを同時に担保します。
三井氏は最後に、3つの呼びかけを行っています。1つ目は、共感者としてNFT住民ホルダーに参加すること。2つ目は、施設を訪れ、防災教育やサバイバルキャンプを体験すること。3つ目は、共感企業として参画することや紹介すること。こうした取り組みを通して、地域と共に持続可能で豊かな未来を作り上げることができます。

地域企業の皆さんにとっても、KIBOTCHAスマートエコビレッジは、単なる視察や学びの場ではなく、共に地域課題に向き合い、新しい事業やコミュニティを創る可能性を示す実践モデルです。地域と企業、人が一体となることで、被災地の復興のみならず、日本全体の未来を支える街づくりが可能になるのです。
志を伝えるプレゼンテーション動画
三井さんの取り組みは、経営実践研究会内で行っているプレゼンテーション(CLミーティング)の動画で知ることができます。
ご覧ください。
貴凛庁株式会社 三井 紀代子 氏
KIBOTCHAスマートエコビレッジ構想~自走した街を目指して~
私たち経営実践研究会では、地域企業(中小企業)が中心となり、各地で企業・自治体・様々な社会活動に取り組む方々と連携しています。
経営実践研究会は、強い輝きを放つ地域企業(中小企業)を多く輩出し、事業を通じた社会課題解決に向けた活動を行い、持続可能な社会を構築していきます。