社会変革のための
プロジェクト
- 2026/10/04
全国で「故郷」の消滅が加速。 「空き家×農地×仕事」が新しい故郷に変わる再生物語

24年後までに消滅可能性自治体が増える問題に立ち向かう今野さんの挑戦
家も、土地も、人の力もある。
子どもたちが将来、故郷に帰れない。
これは帰る家がなくなるというだけの話ではありません。
家は残っていても、働く場所がない。
農地はあっても、耕す人がいない。
暮らしを支える人や仕事が減り、そこで生活を続けることが難しくなる。
今、日本で「故郷」が消滅してしまうかもしれない問題が起きています。
全国で744の自治体(全体の約4割)が「消滅可能性自治体」とされています。
※人口戦略会議資料より
岐阜を拠点に株式会社ノーススターを経営する今野富康さんは、そんな地域の未来に危機感を抱いています。
岐阜県は、消滅する可能性があるとされる自治体が16あるということ。
そして、食料自給率は全国平均の38%に対し、27%にとどまっています。
自分が育った故郷が消滅するかもしれない。
そんな未来への不安を解決するために今野さんは立ち上がりました。
故郷を次の世代へ残すための解決策はあるのでしょうか?
これは「地域経済の循環」という、新しいアイデアによる社会課題への挑戦の物語です。
「消滅する」は、遠い未来の話ではない

2050年までの残り24年の間に人口は益々減り市区町村を維持することができなくなる地域が、全国1,729自治体の約4割にあたる744自治体が該当すると公表しました。
(民間の有識者団体「人口戦略会議」が2024年4月に発表 )
青森県や秋田県では8割以上が消滅可能性自治体とされています。
人口が減り続ければ、地域の暮らしを支える仕事やサービスを維持することが難しくなります。
人が減れば、働く人も、買う人も減る。
仕事が減れば、仕事を求めて人が出ていく。
その流れが続くと、残された家や土地も使われなくなっていきます。
空き家の増加と、農地の担い手不足。
それらは別々の問題に見えて、地域で暮らし続ける力が弱まっているという点でつながっています。
食料自給率の低さも、同じ問いを投げかけます。
農地があることと、その土地が自分たちの食を支えていることは、同じではありません。
地域の外から食料を調達すること自体に問題があるわけではありませんが、土地が使われなくなり、生産を担う人も減っていけば、地域で食を支える力は失われていきます。
家がある。農地がある。
それだけでは、子どもたちが将来、そこで暮らせるとは限らないのです。
今野さんが危惧したのは、子どもたちが家庭を持つ頃に、故郷そのものが失われてしまう未来でした。
人や企業を呼び込めば、解決するのか?

地域を元気にする方法として、外から人を呼び込むことが考えられます。
企業を誘致し、仕事を増やす。
新しい施設をつくり、人が集まる拠点にする。
どれも、地域を変える可能性を持つ方法です。
今野さん自身も、当初は新しい施設をつくることを考えていました。
しかし、それが実現すれば、地域の問題はすべて解決するのでしょうか。
新しい建物に人が集まっても、以前からある空き家が使われるとは限りません。
外から働く人が来ても、地元で仕事を必要としている人に、働く機会が生まれるとは限りません。
企業が進出しても、そこで生まれた利益が地域の外へ流れていけば、地域の中に経済の循環が育ちにくい可能性があります。
農業も同じです。
大規模な農業を進めれば、生産性を高められるかもしれません。
しかし、大規模農業に適さない小さな農地は、取り残されたままになることがあります。
一つの問題を解決しても、別の問題が残る。場合によっては、新たな問題を生んでしまう。
今野さんが向き合ったのは、この矛盾でした。
地域を救うための取り組みの中で、その地域にある家や土地、そこで暮らしてきた人の力が、十分に生かされていないとしたら?
解決策を考える出発点そのものを、見直す必要があります。
社会の問題を、事業として形にする

今野さんは、もともと集客や販売促進を通じて、顧客の売上を伸ばす仕事に注力していました。
転機となったのは、2024年11月22日。
神奈川で行われた経営者が集まるフォーラムでの出来事。
そこでは、地域の経営者たちが資本主義の課題を事業を通じて解決しようと真剣に語り、本気で社会を変えようとしている姿でした。
その姿に触れ、今野さんは学生時代に抱いていた社会への問題意識を再認識します。
そして、自分が感じてきた課題も、事業として向き合えるのだという希望を持ちました。
その後の学びで見えてきたのが、身近な岐阜の現状でした。
社会の問題は、遠くにある大きな出来事だけではありません。
使われなくなった家や、担い手のいない農地にも表れています。
今野さんは、その足元から解決への道を探し始めました。
一つの解決策は、地域にあるものを結び直すこと

そこで考えたのが、既存の集落資源を活用する「エコビレッジレトロフィット」です。
レトロフィットとは、すでにあるものに新しい機能を加え、生かしていく考え方です。
空き家を、人が集まり、働き、暮らす場所として使う。
耕作放棄地や小さな農地を、食料をつくる場所として活用する。
フルタイムで働くことが難しい地域の人にも、参加できる働き方をつくる。
地域の技術や経験を、仕事や教育、次の世代への継承につなげる。
今野さんが目指すのは、水・食料・エネルギーの循環に、「働く・つくる・支え合う」という地域経済の循環を重ねることです。
家、土地、人を別々に考えるのではなく、それぞれが互いを支える関係をつくる。
現在、その実現に向けて、空き家を借り、農地付きのシェアオフィスやシェアハウスとして活用する取り組みを進めています。
近隣に5〜10軒ほどの拠点をつくり、エコビレッジとして運用する計画です。目標は、2027年12月1日の運用開始です。
空き家が使われれば、それですべて解決か?

では、空き家に人が入り、農地が再び使われるようになれば、地域の問題は解決したと言えるのでしょうか?
そこでも、もう一歩先を考える必要があります。
人が住み始めても、生活を支える仕事がなければ、暮らし続けることは難しい。
農地で作物が育っても、その営みを担う人が続かなければ、再び使われなくなります。
技術を持つ人がいても、受け取る人や生かす機会がなければ、その経験は次の世代につながりません。
空き家の活用は、大切な入口です。しかし、その先に暮らしが続く仕組みを育てることが必要です。
だからこそ今野さんは、建物の再利用だけでなく、働くこと、食をつくること、支え合うことを一緒に考えています。
この構想は、まだ完成した仕組みではありません。
実際に人が関わり、暮らしが始まれば、調整すべきことも出てくるはずです。
今野さんは、地元にある資源を生かし、実現可能なことに取り組みながら、新たな道を模索しています。
未子どもたちに、どんな故郷を残したいか?

今野さんが掲げる志は、「すべての人が、また生まれてきたいと思える社会をつくる」ことです。
その志を地域の暮らしに置き換えるなら、家や土地が残っているだけでなく、人が自分の力を生かし、支え合って生きていける場所を残すことではないでしょうか。
使われなくなった家に、もう一度役割をつくる。
担い手のいない土地を、人の営みにつなぎ直す。
地域にある経験や技術を、次の世代へ手渡す。
家も、土地も、人の力もある。
それらを生かし合える関係が育てば、地域の未来には、まだ別の可能性があります。
子どもたちが大人になったとき、「ここで暮らしたい」と思える故郷を残せるか。
今野さんの挑戦は、その問いに、地域に今あるものから答えをつくろうとする取り組みです。
志ある会社を、一社で終わらせない共同体

今野さんが参加する「経営実践研究会」は、利益だけを追い求めるのではなく、社会問題を解決するために存在する会社を目指す経営者の団体です。
どれほど強い志があっても、一社の知識や資金、人脈だけで解決できる社会問題には限界があります。
地域を変えるには、企業だけでなく、行政、金融、教育、専門家、地域住民など、さまざまな力が必要です。
経営実践研究会には、社会をより良くしたいという志を持つ企業が、全国から1,600社以上集まっています。
自社だけで答えを探すのではなく、互いの経験、技術、人脈、知恵を持ち寄り、それぞれの力を借りながら、事業を通じた社会課題の解決に挑んでいます。
さらに、大手有名企業の代表や会長、金融機関関係者、著名な大学の教授・校長・学長、社会的な活動に取り組む団体の理事、現役市長や元市長など、各分野で豊富な経験と影響力を持つ方々も、アドバイザーとして数多く参画しています。
経営、金融、教育、行政など、それぞれの視点から助言や協力を得ることで、一社では構想で終わってしまうような挑戦を、具体的な実践へと進めていくことができます。
今野さんが目指すエコビレッジも、空き家を借りるだけでは実現しません。
農地を活用する人、仕事を生み出す企業、地域住民、行政、教育や福祉に携わる人など、多くの力を結びつける必要があります。
経営実践研究会は、「社会を良くしたい」という思いを語るだけの場所ではありません。
何のために会社を経営するのかを問い直し、志を共有する仲間と出会い、互いの力を借りながら、社会課題を解決する事業を実際に生み出していく場所です。
自社の利益だけでなく、地域や社会の未来に貢献する会社をつくりたい。
けれど、何から始めればよいのか、一緒に進む仲間とどこで出会えばよいのか分からない。
そう感じている経営者にとって、経営実践研究会は、志を実践へ変える大きなきっかけになるかもしれません。
社会を変える変革者たちに、直接触れてみませんか?

今野さんのお話を直接聞いてみませんか?
2026年10月と11月にソーシャルシンポジウムが開催されます。
今回のテーマは
「日本の未来を創る 地域企業の挑戦」
全国で社会課題の解決に挑む経営者たちが、自らの実践と、その根底にある志を伝えるシンポジウムです。
今野さんも登壇します。
ソーシャルシンポジウムで聞けるのは、華やかな成功事例だけではありません。
社会の問題に気づいた瞬間。
自社の事業とのつながりを模索した時間。
理想と現実の間で悩んだ経験。
そして、それでも行動を始めた経営者の覚悟です。
なぜ、家も土地も人の力もある地域から、子どもたちが帰れる故郷が失われようとしているのか。
なぜ、企業誘致や新しい施設をつくるだけでは、地域の問題を解決しきれないのか。
空き家、農地、仕事、地域に暮らす人の経験をどのように結び直せば、次の世代も暮らし続けられる故郷を残せるのか。
今野さん本人の言葉を通じて、その問題意識と、まだ完成していない挑戦の現在地を知ることができます。
シンポジウムの価値は、話を聞いて「よい取り組みだった」と感じることだけではありません。
さまざまな社会課題に挑む経営者の姿に触れることで、
「自分の会社は、何のために存在するのか」
「自社が培ってきた技術や経験を、誰のために使えるのか」
「自分たちの本業で、どのような社会問題を解決できるのか」
という問いが、自分の中に生まれることです。
そして、同じ志を持つ経営者や専門家と出会うことで、一人では形にできなかった思いが、次の実践へ動き始めるかもしれません。
ソーシャルシンポジウムは、社会を変える経営者の志を知り、仲間と出会い、自社の新しい存在意義を見つけるための場所です。
ぜひ、今野さんと直接名刺交換や話をして、あなたの会社だからこそできる「社会をより良くする事業」を考えてみませんか?
【ソーシャルシンポジウム2026】
テーマ:日本の未来を創る 地域企業の挑戦
【大阪】 今野さん登壇!
日時:2026年10月18日(日)
会場:梅田スカイビル
【東京】
2026年11月21日(土)
有明セントラルタワーホール&カンファレンス
詳細・お申し込みはこちら
⇒ https://symposium2026.keijitsukai.jp/