社会変革のための
プロジェクト
- 2026/09/05
海のごみ問題から生まれた自社の新しい可能性 。「地球再生業」が地域と人の未来を変える事業へ

売上や利益の先に、次の世代へ何を残せるか。
本業の新しい可能性を見つける。
いつか、子どもと歩く海辺で、こんな話ができたら。
「この海を守る仕事に、私たちの会社も関わっているんだよ」
目の前には、安心して遊べる砂浜が広がっている。
その景色を守る力になったのは、自分たちが毎日の仕事で磨いてきた技術や経験だった。
そんな未来をつくれるとしたら、これからの仕事に、どんな可能性を感じるでしょうか。
処分するしかないと思っていたものが、地域で役立つ資源になる。
別々の仕事をしていた人たちが、一つの未来に向かって力を合わせる。
そして会社の事業が、子どもたちに残したい風景を守ることにつながっていく。
大阪で建設業と一級建築士事務所を営む、有限会社マヴェリック代表取締役・古川剛さんは、そんな未来を目指しています。
掲げる仕事の名前は、「地球再生業」。
けれど、その出発点にあったのは、自信でも、完成された事業計画でもありませんでした。
大好きな海が汚れているのに、自分には何もできない。
その痛みと、無力感でした。
そこから、なぜ一人の経営者が、海や山、地域を再生する挑戦へと踏み出せたのか。
その歩みには、「社会の役に立ちたい。
でも、自社に何ができるのか分からない」と感じている経営者にこそ、知ってほしい転機があります。
大好きな海を残したい。なのに、自分には何もできない

古川さんは、福岡県の海のそばで育ちました。
子どもの頃、海がきれいなのは当たり前でした。
砂浜を走り、波の音を聞き、ただ海を眺めているだけで幸せだったといいます。
海洋実習で訪れた世界の海にも、心を動かされました。
空の色、海の青さ、風の匂い。自然の中には、人を幸せにする豊かさがありました。
だからこそ、東京湾で濁った海を目にしたとき、強いショックを受けたのです。
「海って、こんなんだったかな」
自分が知っている海とは、あまりにも違う。
きれいな海を見てきたからこそ、その現実が苦しかった。
裸足で歩けた砂浜に、プラスチック片が散らばっている。
波の音を聞いていた場所に、ペットボトルが転がっている。
便利に暮らしてきた私たちが、その後始末を子どもたちに残していいのか。
海の汚れは、古川さんにとって、自分の大切な風景と次の世代の暮らしに関わる問題になりました。
国連環境計画は、世界の海に年間約1,100万トンのプラスチックが流れ込むとする推計を紹介しています。
対策が進まない場合、2050年には海のプラ
スチックが魚の重量を上回るという予測も示されています。
ただ、問題の大きさが分かるほど、動き出せなくなることもあります。
「自分一人ではどうにもならない」
古川さんも、そう感じていました。海を大切に思う気持ちはある。
それでも、自分の仕事と海の再生をつなぐ方法が見えなかったのです。
その見え方を変えたのが、ある経営者との出会いでした。
「無理だ」と思っていた未来に、技術が道を開いた

滋賀県の大木工藝との出会いを通じて、古川さんは、廃棄物を資源に変え、海の環境改善に役立てる技術の可能性を知ります。
「今の技術で、海をきれいにできる」
そう聞いたとき、驚いたといいます。
これまで、どうにもならないと思っていたことに、取り組める方法があるかもしれない。
諦めていた未来が、考え、行動できる未来に変わり始めた瞬間でした。
古川さんが出会ったのは、「炭化」の技術です。廃棄物から炭化物をつくり、新たな用途へとつなげていく。
講演では、それを海の環境改善や土壌改良に役立てる構想が紹介されました。
古川さんは、ごみを資源として生かすことに、再生への可能性を見いだしました。
この転機から見えてくるのは、「自分に方法が見えていないこと」と、「方法が存在しないこと」は同じではない、ということです。
自社だけでは解けない問題でも、誰かが持つ技術や知恵と出会うことで、関われる道が見つかるかもしれない。
古川さんの一歩は、その可能性を教えてくれます。
ただし、技術に出会ったことで、すべてが解決したわけではありませんでした。
海をきれいにしたかったはずなのに、なぜ違和感が消えないのか

海を再生する方法が見つかれば、その実現に向けて、仕事に打ち込める。
ところが古川さんは、炭化事業の説明をすればするほど、違和感を覚えるようになりました。
技術のこと。機械のこと。事業のこと。
伝えている内容は間違っていない。
それなのに、本当に伝えたいものから離れている感覚があったのです。
ある時自分の想いを語った方から、こんな問いを投げかけられます。
「それ、自分だけの事業の話になっていませんか?」
古川さんは、はっとしました。
自分が本当にやりたかったのは、海をきれいにすることだった。
そのために技術に可能性を感じたのに、いつの間にか、機械を売る話が中心になっていた。
実現したい未来よりも、それを実現する手段の説明が前に出ていたのです。
これは、自分たちの経営にも重なる問いではないでしょうか。
商品の良さを説明する。サービスの特徴を伝える。
売上をつくるために工夫する。
その日々の中で、「この仕事を通じて、誰に、どんな未来を届けたいのか」を、どれだけ語れているでしょうか。
古川さんは、自分が最もワクワクする仕事を、改めて振り返りました。
築100年以上の長屋に、新しい役割を与えたとき。
旅館の大宴会場を、コワーキングスペースへと変えたとき。
古いものに新しい命が吹き込まれ、再び価値を持ち始める。
その瞬間に、心が動いていたことに気づきます。
自分は、これまでも「再生する仕事」をしてきた。
そう捉えると、建物の再生と、海や山、地域の再生が、一本の線でつながりました。
そこで古川さんは、決めたのです。
「地球再生業」をやろう。
この歩みは、本業の可能性を考えるとき、業種の名前だけで自社を捉えなくてもよいことを示しています。
これまで、誰の、どんな困りごとに向き合ってきたのか。
何に新しい価値を与えてきたのか。
どんな瞬間に、この仕事をしていてよかったと思ったのか。
その経験を掘り下げることが、社会の課題と自社の強みをつなぐ手がかりになるのです。
古川さんが描くのは、廃棄物が地域の資源として生かされ、海や土へと役立つ形で還っていく未来です。
たとえば、介護施設で生まれる廃棄物。
そこに資源として活用できる可能性を見いだし、地域の循環へ組み込んでいく。
高齢者、子ども、地域住民が関わる場所に、その仕組みが根づいていく。
環境の再生と、人々の暮らし、地域の仕事がつながる。
事業として続けられる経済性があり、関わる人が誇りを持てる。
それが、古川さんの目指す姿です。
自社の技術が、誰かの挑戦に必要とされる。
当たり前に続けてきた仕事が、地域の困りごとを解く力になる。
そのつながりが見えたとき、社員と語る会社の未来も変わるかもしれません。
あなたが守りたいものは、何でしょうか。
そのために、今の仕事から始められることは何でしょうか。
その問いを持つことから、自社の新しい可能性を探す一歩が始まります。
志を、仲間とともに事業へ。経営実践研究会という実践の場

古川さんのように、本業を通じて社会の課題に向き合う地域企業が、互いに学び、実践を重ねているのが、一般社団法人経営実践研究会です。
大切にしているのは、「何のために経営するのか」「自社の仕事で、誰を幸せにしたいのか」という、経営の土台にある問いです。
その志を、自社の事業として形にする。
異なる経験や技術を持つ仲間とつながり、実践を広げていく。
「学び・実践・伝播」を通じて、本業による社会課題の解決と、持続可能な社会づくりを目指しています。(経営実践研究会について)
「自社にもできることがあるはず。でも、その形がまだ見えない」
そんなとき、すでに動き始めている経営者の話を聞くことは、自分の会社を見つめ直す機会になります。異なる業種の実践からこそ、思いがけない接点が見つかるかもしれません。
古川さんの挑戦を、生で聞いてみませんか?

古川さんが何に心を動かされ、どんな未来を目指し、今、どこに挑んでいるのか。
その思いに、本人の言葉で触れられる機会が、「ソーシャルシンポジウム2026」です。
テーマは、「日本の未来を創る 地域企業の挑戦」。
本業で社会課題の解決に取り組む経営者や実践者が集い、それぞれの挑戦を伝えます。古川さんは、大阪・東京の両会場で、ものづくり建設委員会の発表に登壇予定です。
「自分の会社なら、どんな形で関われるだろう」
「この人の考えを、もっと聞いてみたい」
そんな問いを持って、足を運んでみませんか。
古川さんが、ある出会いから新しい可能性を見つけたように、誰かの実践に触れることが、あなた自身の次の一歩につながるかもしれません。
自社の仕事で、子どもたちにどんな未来を残したいか。
その答えを探す一日として、ぜひご参加ください。
▼開催概要・プログラム・参加申し込みはこちら
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【ソーシャルシンポジウム2026】
テーマ:日本の未来を創る 地域企業の挑戦
【大阪】
日時:2026年10月18日(日)
会場:梅田スカイビル
【東京】
2026年11月21日(土)
有明セントラルタワーホール&カンファレンス
詳細・お申し込みはこちら
⇒ https://www.keijitsukai.jp/event/20261018so/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━