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企業訪問レポート【有限会社タニカワクリーニング様】|活動レポート|経営実践研究会

2020年12月10日(木)

企業訪問レポート【有限会社タニカワクリーニング様】

日本で最もティール組織なクリーニング屋といわれる「有限会社タニカワクリーニング様(茨城県神栖市)」を訪問させていただきました。ティール組織という言葉を知らないままに、試行錯誤した結果、自然と『ティール』を実践されていた会社様です。

 

「社内の問題は人間関係だけ。そういう16年間でした」

「自主的にやっていくと言うのは、ミスを許容することでもある」

「皆で考えないといけない状況になったら、考えていくことになる」

「ゴールの見える化」

「情報格差を作らない」

 

最初からすべてがうまくいっていたわけではなく、収益もあげながら働いている皆が幸せなカタチを試行錯誤された結果、生み出された言葉や運用を、職場見学や講演で学ばせていただきました。これからの組織をどのように創っていくべきか、多くの気付きをいただきました。

 

また、最後には、タニカワクリーニング様をご支援されている青野税理士にもお話をお聞きする機会をいただき、ティール組織や自律分散組織について学ばせていただきました。

 

■今回のワンデープロジェクトの目的

これからの時代、自律分散が企業に必要になっていく中で、自律分散をベースとしたティール組織を実践されている企業を実際に感じ、自社が目指すべき組織の在り方や、一つでも取り組みとして実践に繋げていく事。

 

■参加メンバー(計15名)

菅 寛人さん

伊藤 寛泰さん

伊藤 翔子さん

井内 一成さん

脊尾 大雅さん

池 浩史さん

宋 浩典さん

赤池 侑馬さん

奥野 裕一さん

飯室 和希さん

立松 佳奈子さん

相馬一輝さん

齋藤駿介さん

吉田さん

窪田篤さん

 

■ご対応いただいた皆様

有限会社谷川クリーニング様

代表取締役 谷川祐一様

専務取締役 谷川麻美様

五字泰智様

谷川社長に工場をご案内いただきました

 

*会社情報

有限会社谷川クリーニング

https://tanikawa-cl.com/

創業 昭和44年10月

設立 平成6年1月

代表者 代表取締役 谷川祐一

従業員数 52名

事業内容 家庭用クリーニング、各種特殊加工、特殊洗浄、リネンサプライ

営業店 直営店17店舗

本社所在地 茨城県神栖市知手中央3丁目9番16号

売上高 2億7000万円(2019年度)

青野税理士事務所

https://aonohideaki.com/

https://note.com/aonohideaki

青野英明様

 

■当日の流れ

2020年12月10日

1.タニカワクリーニングの皆様と合流し昼食をご一緒いただきました

2.歴史見学(神栖市歴史民俗資料館)

3.タニカワクリーニング様店舗見学

4.タニカワクリーニング様工場見学

5.谷川社長講演

6.青野税理士講演

7.タニカワクリーニングの皆様と会食

 

タニカワクリーニング様見学について(会食・店舗・工場)

1.昼食を谷川社長と合流し会食

谷川社長の思い出の地 店舗「アラスカ」にて。
1人づつ簡単な自己紹介を致しました。

谷川社長が子供の時、両親とも非常に忙しく、ほぼ毎日アラスカで夕食を食べていたとのことで思い出の洋食屋さんです。下記裏メニューとのことで、お肉にチーズが巻いておりとても美味しかったです。完食後、お店の前で写真撮影をしました。

 

2. 店舗見学

店舗をどのように運営しているかを谷川社長にご説明いただきながら見学させていただきました。一斉に入るとご迷惑になりますので5人づつくらいで3班に分かれて順次店舗に入らせていただく形となりました。

入り口のドアを開けると従業員の女性の方が笑顔で、挨拶していただきとても感銘を受けました。

クリーニング店の裏側に入ることは通常はないと思いますが、惜しげもなくバックヤードまで見せていただき業務の内容や仕組みを説明していただきました。

仕組みの中ですごいなと思ったのがシフトもスタッフにすべて任せているとのことでした。

自分を職場の中で、必要な存在にしていくことで助け合いが生まれるとのことです。

また、店舗に関しては基本1名~2名で回しているとのことでしたが、お客様と密接な距離感のもと店内の装飾を作ってくれるお客様もいらっしゃるとのことです。現にクリスマスのオブジェはお客様が作ってきてくれたとのことです。また、外観はおしゃれなカフェみたいで、清潔感があり素晴らしかったです。

3.工場見学

店舗と同じく3班に分かれて、順次工場の見学をさせていただきました。

店舗と同様に工場でも従業員の皆様が元気にキビキビと働いており、私どもが入場した際は気持ちの良い挨拶をしていただき、素晴らしい会社だなと改めて感じました。

工場でも同じく、工程を谷川社長に説明していただきながら進む形となります。

ビックリしたのは、Yシャツにアイロンを掛けないこと。他にも油汚れは油で制すなど専門的なことも色々とご教授いただき裏側を見て関心させられることばかりでした。

今回の見学で一番勉強になったことかもしれませんが、工場のホワイトボードにはマグネットで人材の配置を分かるようにし、当日の見える化を図っておりました。「サッカーと一緒で、足りていないところをチームワークで補い助け合う」とのことです。しかも従業員だけで決めているとのことで、ビックリさせられました。ちなみに工場長はいないとのことです。また、ゴールを自分の任されている箇所で終わりにするのではなく、包装までいったところをゴールに見据えることで、皆で助け合うチームになっている。工場と店舗の人材に関しても流動的にしていることで仕事をすべて把握してもらうとのことです。

 




 

谷川社長講演「タニカワクリーニングがなぜ今の働き方になったのか」

タニカワクリーニング様オフィスで、谷川社長から「タニカワクリーニングが今の働き方となった経緯」と「組織のなかで気を付けていること」についてお話いただきました。

非常に楽しいエピソードを交えて長時間お話いただきましたので、特に重要と感じたポイントをご紹介します。

 

お話いただく谷川社長。
このオフィスでは、メンバーの皆様が2時間にわたるミーティングを重ねているらしく、壁一面がホワイトボードの明るいスペースでした。

 

POINT①タニカワクリーニングでは、店舗マネージャはいない。社員とパートにも上下関係はない。

千葉県・茨城県に17店舗を展開するタニカワクリーニング様ですが、その店舗は基本的に1店舗1名(複数の方がシフト調整して働く)で営業されています。

通常こういった形態の店舗運営では、複数店舗を管理する管理職(エリアマネージャやスーパーバイザー)を置いて、運営を統括するそうですが、タニカワクリーニング様には管理職が一切いらっしゃらないとのことです。

 

すべてのメンバーがフラットな関係にあり、パートさんと社員さんという契約の違いはあるものの、その違いは「働く時間」のみとのことでした。

 

谷川社長

「中間管理職や管理職という名前の人がいなくて、パートさんと社員さんはいるんですけど、どっちが上とか、どっちが下とかはありません。何が違うのかっていうと、働く日数が違うんです。働く時間数や日数が社員の方は多いというだけです。別にどちらの働き方を選んでもいいし、どっちになってもいい。パートさんが社員になってもいいし、社員からパートにというのもいい。例えば結婚を機にパートに切り替えるとか、結婚して子供が生まれてお金が必要になるから社員になるっていうような感じです。」

 

POINT②タニカワクリーニングの店舗シフトはだれも管理せず、メンバー間で勝手に決める

そんなタニカワクリーニング様の特徴が「シフトの決め方」にありました。

通常、パートさんのシフトなどは、皆の希望を聞きながら管理職が決めることが多いのですが、タニカワクリーニング様には管理職がいない。ではどうするか?

その答えは「みんなが勝手に決める」です。

 

谷川社長

「シフトもあるけど、管理職がいないので、相談で決めてくださいって言っています。それだけです。

例えば、具合が悪くて行けなくなったといった時には、以前は僕に電話がかかってきましたが、今はかかってきません。皆さんの間で相談しあって対応してくれています。

他の会社の方から、どうやったらそういう運用ができるようになるんだ?と聞かれることがあるのですが、分からない。自然とそうなっていたんです。」

 

POINT③安心できる働き方は、会社が提供するのではなく、「働くあなた」が作る

採用面接で働き方に関する制度について聞かれることもあるそうですが、タニカワクリーニング様では会社が「安心して働く制度を提供」している『わけではありません』。

それは働く人自身が作るものだと谷川社長は話しています。

 

谷川社長

「こういう制度ありますか?安心して働けますかといった話はありますが、それにはわかりませんって答えますね。

一緒に働いてる人たちにとって、あなたがとてもいい人で大切な人って思われていれば、周りの人はあなたを助けてくれます。きっとあなたもそうですよねって。

自分の好きな人、大切な人が困っていたら助けるじゃないですか。そうなるだけですよ。完璧に安全で安心できるような体制って、誰かに作ってもらえるわけじゃなくて、自分たちで作っていく、そういうものですよね。みんながお互い様で、お互いにそのように思えたら、自然と変わってくると思っています。」

 

POINT④ルールは人を信じない前提でつくられる。だから、ルールはなくしていく。必要なのは「関係性」

タニカワクリーニング様では、関係を良くしようと働く人皆さんがやった結果、今の働き方に変わっていったというお話を伺いました。

そして、そのポイントにあったのは「お互いを知ること」でした。

 

谷川社長

「ルールっていうのは「相手がルールがないと動いてくれないという前提」にあると思うんです。以前は、ルールをいろいろ作らないと、働く人たちはちゃんと守ってくれない、何するかわからない、だからルールで縛らなきゃと思って色々なルールを作ってたんですけど、本当にそうなのかな?って思ったんです。なぜかというと、ルールがなくたって、お客さんのことを思って、お客さんのために動いてくれている人がとたくさんいたんですよね。

ルールを作るということは要は信用してないよって言っているのと同じことなので、これはない方がいいんじゃないかって考えはじめたんです。それで、ルールをどんどんなくしていったんです。」

 

「例えば、店舗間で喧嘩してる人がいます、と。その人たちが何でそうなってしまうかというと、お互いのことを知らないからなんですよね。

自分の父親との関係もそうだったんですが、関係を変えようって思ってから、お互いのことをよく知ろうとして父親のことを聞いたり、よく知る人に話しに行ったりとかやってるうちに自分の気持ちも変わってきて、関係性が変わったんです。

同じように店舗の人たちに対してもそれをやっていると、ルールがあることが邪魔くさいものに思えてきて、繰り返してやってるうちにだんだんお互いの関係性とかが変わってきたんですね。

店舗の人たちも一緒に働いてる人たちとは「良い関係の方がいい」ってやっぱり思ってるんです。だからいい関係にするためにはどうしたらいいんだろうっていうことをみんなでやっていくと、関係はよくなっていく。そこに連絡や協力がしやすいような道具や仕組みを入れてあげるとだんだん仲間になっていくんですよね。」

 

POINT⑤自律分散は難しいことじゃない。例えばサッカーだったらチームが勝つために皆がやっていること

見学していると驚くことばかりの運営をされているのですが、谷川社長は「難しいことじゃない」とおっしゃいます。それは「関係を良くしていくこと」を考えたら自然と到達した運営だったそうです。

 

谷川社長

「自律分散として最近は色々ご紹介していただくことがあり、見学に来ていただくこともあるのですが、自分たちは自律分散をやろうと思ってやったわけではなくて、関係を良くしようと思ってやっていたら、勝手にこういう構造になっていたってだけの話です。」

「だから、自律分散は難しいことでもないと思っています。

これはよくする話なんですが、サッカーのチームと一緒だよって思っています。

プロサッカーチームがあって、プロサッカー選手として自分が良いお給料をもらいたいって思ったときに、チームが連戦連敗の状態で自分だけが良い状態になるということはありえないんです。自分が勝ちたいって思ってるんだったら、チームの仲間と一緒に戦わない限り、お客さんは喜ばないですし、スポンサーも増えないですし、自分に返ってくることもないんです。だから、自分事として「チームの勝利」に貢献しようって思えた人の方がよっぽど先に進めるわけですよね。」

 

「で、サッカーだと監督って試合が始まったら何も手出しできないじゃないですか。だから試合が始まるとチームの中で自然と自分たちで考えて行動しますよね。

これが会社の話になると、なんで指示がほしいって話になるんだろう?ってことだと思います。だから難しいことでも何でもなくて、高校生のサッカーチームでもできることをただやろうってことなんだと思います。」

ここでは、谷川社長のお話のごく一部を紹介させていただきました。

谷川社長は「自然とそうなっていた」というお話を多くしていただきましたが、その状態にまで変化する間には、きっと迷いや苦しみもあったのではないかと私は感じました。そこを乗り越えて、組織のより良いイメージを信じて進む、そういった信念が経営者には求められるのではないか、とも思います。

 

タニカワクリーニング様の実践見学とお話を聞き、「経営者としてのあり方」や「組織の目指す方向」について、多くのヒントをいただくことができました。

 

青野税理士講演「組織がティールに向かうには、経営者の心の在り方が重要」

青野税理士にもお話しをお聞きする機会を頂き、ティール組織や自律分散組織について学ばせていただきました。

 

ティール、自律分散の前提条件=経営者の精神発達段階

つまり経営者の心の在り方がティールかどうか?

が重要との事です。

 

それを解りやすく『幸福発達モデル』という一覧を使い、

【レッド】→【アンバー】→【オレンジ】→【イエローグリーン】→【グリーン】→【ティール】…

という発達段階を一段一段上る必要がある事を教わりました。

また、【ティール】の先にも4つ程の段階があるそうです。

青野税理士はティールが全てでは無いし、皆がティールを目指す必要も無いとも仰っていました。

企業の従業員は、レッドの人、アンバーの人、オレンジの人、など、それぞれのカラーの持ち主が居るのが伸びる企業でもあり、良い企業であること。また、レッドから突然ティールの考えにはなる事は出来ず、アンバーの人すなわち自分の1つ前の段階の人に引き上げて貰うことが望ましいとの事でした。

社長の言葉が新入社員には伝わりにくく、先輩からの言葉の方が伝わり易いなどという現象もこの辺りにも秘密があるのかもな…とも感じました。

ちなみに日本人はオレンジの人が多いらしいです。オレンジは、簡単に言うと会社理念に共感し、それが自分に浸透しており、他者に従う事が出来る人。いかにも日本人に多そうですね。

だが、コロナ禍がきっかけで、グリーンに近くなってきた。とも言われているそうです。

グリーンは、他者から主体的に責任を持って自立し、自分の世界観で他者をリード出来る人

アフターコロナ、withコロナの時代にどの様に持続可能な企業にするのか?

持続可能な社会にする為には?

これからの社会に必要な企業としての在り方に対し、様々な気付きがいただけました。

長時間お付き合いをいただいた谷川社長を始めとするタニカワクリーニングの皆様、急遽駆けつけていただいた青野税理士に改めて感謝申し上げます。

 

最後に、タニカワクリーニングの皆様、青野税理士と一緒に記念撮影。




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