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金井駿氏【株式会社ヒューマアルバ】犯罪のない社会を目指して

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犯罪のない社会を目指して

今回のインタビューは株式会社ヒューマアルバ 代表取締役 金井駿氏。
来年から非行歴・犯罪歴のある依存症の方の治療・就労支援事業をスタート
若干23歳の彼が何故この領域に取り組むことを決めたのか。
そこには『犯罪』に対する固い決意が存在する。
社名にある『アルバ』はイタリア語で『夜明け』の意味。
『一度間違ってしまった人』の人生の『夜明け』へのサポートをする。
そこにある想いを伺いました。

父がギャンブル依存症に

会員:起業されたのは最近なんですか?

株式会社ヒューマアルバ 代表取締役 金井駿氏(以下、金井):はい。この会社は今年の4月からになります。まだ営業は開始していなくて準備段階という位置付けです。事業所は川崎の方を予定しています。

会員:起業された経緯はどういったものなんですか??

金井:経緯としては私の父が当事者でギャンブル依存症になり、犯罪を犯して捕まってしまったというのが大きいです。私が高校生の頃でした。しかし、その頃はこういったことをやろうとは考えていませんでした。大学4年間はコンサル会社やIT系ベンチャーでお金を稼ぐぞという人間だったのですが、時間が経つにつれそれがなんだか虚しくなりました。大学を卒業するときに人生をかけてやっていきたい事、社会にとって良いことをしたいなと思うようになり、この領域だと考えるようになりました。

一度間違えてしまった方が何度も繰り返してしまうことが社会問題になっています。そうではなく立ち直ってもらいたいとの想いからこういったことを始めました。大学を去年卒業したのですが、当初はIT系の会社で正社員としても働いていました。そのダブルワークとして知人と人材の会社をやっておりまして、そこは刑務所から出てきた方の就労支援をする会社だったんです。

犯罪歴があると仕事になかなかつきにくいというのがあるので、民間のハローワークのような事業を去年の四月から今年の三月末までやっていました。しかし、代表と会社の方針が合わなくなってきたというのと就労支援だけだとどうしても救い上げきれない人がたくさん居る。依存症の方というのはその代表例になります。そこに手を伸ばさないといけないなとなりまして、私は離れてこの『ヒューマアルバ』でやっているというのがざっくりとした経緯になります。

出所した人も同じ人間、普通の人

会員:刑務所から出所した方への抵抗というのはないんですか?

金井:自分の父や周りにもそういう人が居たので特に嫌悪感というのはないですね。同じ人間で一線を超えてしまっただけかなと。逆にいうとその差しかないです。話してみると普通の人ですからね。テレビで見るような危ない人もいる事にはいますがほんの一部なので。

会員:口で言うのは簡単ですが、実際に取り組まれるというのは凄いですね。若い方なのに出所された方へのアプローチという事には驚かされました。ちなみにこれからは具体的に施設を作って社会復帰を支援するという事業になるのですか??

「四身一体」の復帰支援

金井:そうですね。施設を作って社会復帰を支援していくというのが大まかな事業内容で、具体的にはうちでは社会復帰に必要なのは四機能であると定義しています。これをまとめて提供する施設になっています。一つ目が回復支援です。病気というものがきっかけで道を外れてしまった人はその根本を絶たないといけないのでまず回復を支援します。二つ目は住居支援です。家がない人もやっぱりいるんですね。さらに身内が居ない方や身内が居ても縁を切られていたりとかそういった方に対しての機能になります。

三つ目が教育支援です。教育というと上から目線に聞こえるのですが、四則演算や漢字の読み書きすらままない人も結構いるんです。そういった方向けの機能になります。さらに勉強ではなく、ソーシャルスキルという風に呼んでいるのですが、対人のコミュニケーション面の育成です。コミュニケーションで上手くいかずトラブルに陥り、ストレスを抱えて鬱というサイクルがあります。だから、そこを防ぐ為の機能も兼ね備えています。

そして四つ目が就労支援になります。やはり順調に回復してきても履歴書を出すときに空白の期間があったりしてなかなか内定が出にくい。そこに我々が介入して面接の特訓や履歴書の書き方指導、さらにこれからはうちの理念に共感していただけた企業さんのいずれかに就職できる状況も作っていこうと考えています。そういったもの全体で最後の就労支援になります。

これを総合的に提供している施設が今の所ないなと感じていまして、そこをやれば新しい価値を提供していけるのではないかなと思っています。この四つが揃って我々は「四身一体」と呼んでいるのですが、「四身一体」の社会支援をやっていこうとしています。

会員:素晴らしいですね。ちなみにこの前、北海道の企業さんが取り組みをされているのをネットで見たのですが、それは就労支援の部分だけという形になるのですか??

金井:そうですね。そういった会社さんは結構ありまして、自分の事業がある上で雇用機会を提供するという形ですね。この流れは我々にとって追い風なので、本当にありがたく思っています。

会員:一つ疑問なのですが、依存症ってギャンブルとかアルコールとか色々ある中でそういった様々な方々が同じ施設に入って問題はないんですか??根本的な原因が違うのかなと思っていたのですが。

金井:その点では依存に至る根本は一緒なことが多いです。対象物が違うという形ですね。我々がこれから提供していく回復プログラムも違う依存だと効果がないというものではないです。だから一緒の施設でやっていこうかなと考えています。分けたりしている施設もありますが、我々は分けないでやっていこうかなと考えています。

様々な視点から事業を考える

会員:なるほど。依存に至る根本は同じということが多いのですね。そして、ここが一番の課題かと思うのですが、このビジネスモデルだと基本的にどこで収益を上げていくのですか??

金井:収益源は三つありまして、一つ目が厚労省からの訓練報酬ですね。一定の基準を超えていれば利用者さんの数などに応じて毎月収入を得ることが出来ます。これが重要な収益源になります。二つ目が実際の利用者さんからの利用料になります。そこはしっかりいただきます。ただ、本人は払えない事が多いので理解のある親族の方、ほとんどはお母様ですけれども、その方からいただきます。

三つ目がグループホーム*に対しての厚労省の補助金になります。そこに合致したハウスを作ってそこを運営することで補助金を受けることが出来ます。三つ収益源があると申し上げたのですが、立ち上げ期ということもありまして二つは政府からいただくという形になっています。

細かい規定はいろいろあるのですが、結構補助は充実しています。というのも行政上の括りだと依存症を抱えている人は精神障害者になるんです。障害を持った方への補助という形になるので他に比べて手厚く補助されているというのはあります。それに比べて法務省管轄だとまだまだ進んでいない部分が多いので、そういった方を福祉のフィールドに変えると収益面で随分変わります。そこは一つポイントですね。
*グループホーム(group home)とは、病気や障害などで生活に困難を抱えた人達が、専門スタッフ等の援助を受けながら、小人数、一般の住宅で生活する社会的介護の形態のことである。 そこでは、地域社会に溶け込むように生活することが理想とされる。 集団生活型介護という言い方もある。(Wikipediaより)

会員:様々な観点から考えることが大切なのですね。ちなみに施設自体は来年の2月にオープンという形ですか??

金井:そうですね。まだ入居者の募集はしていないのですが、そういった方は政府管轄の精神病院などからの紹介がメインですのでそこでのネットワーク作りをいま進めている所です。

会員:そういった精神病院としては早く受け入れて欲しいという感じなのですか?

金井:そこまでではありませんが、薬物やアルコール依存症の方が精神病棟に初めて診察に行った時にうちでは対応できませんと断られるケースが少なくないんです。そういったときにヘルパーさんがいるから行ってみたらという風に紹介される形ですかね。病院側としてはうちと提携できてありがたいという感じではなくて、中立みたいな感じですね。

会員:不登校の問題とよく似ていますね。構造がよく似ているように感じます。ちなみにオープンしてからどうしていこうといった展望などはありますか??

60年以内に犯罪0

金井:一番長期的な目標として60年以内に犯罪0というのを掲げています。これは日本だけではなく世界中でそうなることを目指しています。犯罪なんて絶対誰も幸せにならないので。しかし、そこへの明確なステップというものは見えていないというのが現状です。ただ、直近5年、10年であればビジョンは描けていて、まず5年ではコンビニのような戦略でどんどん面を増やしていくことを考えています。

市場規模としては抽出されていないだけでかなりの人数がいると言われています。薬物、ギャンブル、アルコールだけで200万人は居るんじゃないかと言われています。そこで、1拠点目は定員が20人ほどなんですが、全国で5年以内に2000人同時に支援出来る体制を作っていくことを目指しています。そして、5年から10年にかけてはその動きを延長してやっては行くんですが、やはり箱を作るだけだと支援速度に限界があります。

そこで、それとは違った形での支援をしようと考えていまして、遠隔診療というのが今トレンドになっていますが、そういった形で刑務所に居る人にプログラムを提供したり、うつ病の治療に関してもプログラムをまとめあげてそれを各々でやって改善していく行動療法アプリのようなものもあったりしましてそういった形です。そういう風にサーピスの形を作りこんでいかないと間に合わないなと感じています。それを10年くらいのスパンで考えています。

会員:そうなんですね。実は私も出所してすぐの人と働いたことがあったのですが、その人たちはそういった教育など受けないでただ流されてきたという形だったので問題が起きたりもしていました。だから本当にこの事業は社会的意味のあるものだと思います。

金井:ありがとうございます。前の人材の会社との方針が合わなくなったのもそういった部分でした。ただ紹介するだけという風になってしまっていたのでそれではダメだとの想いもこの事業に詰まっています。

会員:そういった想いもあったのですね。本日は貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。大変ためになるお話でした。これからも頑張ってください。応援しています。

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<プロフィール>金井 駿

株式会社ヒューマンアルバ設立、代表取締役
1993年生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。
大学1年時に経営コンサルティング会社にて勤務。その後、IT系ベンチャー企業に入社。営業、マーケティング、新規事業立ち上げに携わった後、同社の新卒採用を統括。大学卒業後、刑余者専門の就労支援会社に入社、専務取締役就任。
2017年3月に辞任後、株式会社ヒューマンアルバ設立、代表取締役就任。