インタビュー|豊福良太氏【合同会社 鷹睡】日本のITエンジニアにとって働きやすい職場環境を作る

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豊福良太氏【合同会社 鷹睡】日本のITエンジニアにとって働きやすい職場環境を作る

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日本のITエンジニアにとって働きやすい職場環境を作る

今回のインタビューは、合同会社 鷹睡 代表社員 豊福 良太氏。
中小企業向けにハイクオリティなシステムを安価に提供しておられます。
ただ通常のシステム製作の会社との違いは、『短納期の仕事は受けていない』ということ。

一見今の社会に合致していないそのこだわりの裏側には、社会とのギャップに苦しみながら、好きなことを精一杯やろうとする人々を手助けしたいという熱い想いが詰まっていました。

社名の裏にも「陰ながら世に必要とされるプロフェッショナルであろう」との意気込みが込められている 鷹睡。その代表社員である豊福氏にその想いを伺いました。

同僚が何十人も倒れる職場

東北大学 農学部 3年 横内宇(下、横内):まずは現在行われている取り組みについて教えて下さい。

合同会社 鷹睡 代表社員 豊福 良太(以下、豊福):はい。私の会社ではITコンサルティングとシステム開発の業務を行なっています。 IT業界ではシステム開発の現場でうつ病になるエンジニアが非常に多く、業界からドロップアウトしてしまった人を弊社では在宅ワーカーとして雇用しています。

非常に忙しい仕事環境や人間関係の問題でうつ病になり、倒れていく同僚をサラリーマン時代に何十人も見てきました。彼らのその後を追いかけると、エンジニアとして再就職することが出来ず困っている事が多いのです。やはり、病歴のために一般的な企業では敬遠されてしまうことが多いようです。

それに加えて、一度うつ病になってしまうと満員電車などの心身に強くストレスがかかる環境に身を置くことが難しくなってしまいます。そのため通勤して平日フルタイムで働くような仕事になかなかつけなくなってしまう人が多いのです。

横内:-やはり病気というのは後々も不利に働いてしまうのですか。

豊福:その傾向が強いですね。しかも、エンジニアというのはITの技術が好きでそれを仕事にしている人が多いのですが、残念ながらそれを手放さざるを得ない状況に陥る人が多くいるというのが現状です。

例えば、私の友人に中古車販売会社をやっている社長がいるのですが、展示場で日々洗車をしているのが元ITエンジニアだったりするわけです。業界からドロップアウトした後、肉体労働をしている人も少なからずいます。

今まで光の当たらなかった人達に光を

横内:-私達の身近にもそういった方がいるんですね。

豊福:そうなんです。そしてこれは業界にとっても、この国にとっても大きな損失だと思っています。企業がかなりの教育コストをかけて、長く経験を積んできたITエンジニアが、それと全く関係がない肉体労働をしている。そういった状況は国にとっても業界にとっても好ましくないと感じ、どうにかしたいと思うようになりました。

また、IT業界は慢性的に人手不足が続いている業界なのですが、人を使い捨てのようにしてしまっているのだから、当然と言えば当然です。そのような状況に手を打つことはせず、リソースが足りないといって海外にアウトソーシングしているのが業界の現状です。

アウトソーシングが悪いと言うつもりはありませんが、エンジニアとして働きたくても働けない日本人を業界としてたくさん生み出している状況を放置して、オフショア(海外)に出せば良いと考えるのは、私は違うなと感じています。

日本でITエンジニアとしてやっていきたい日本人がいるのなら、彼らに仕事をしてもらえば良いじゃないかと。フルタイムの勤務や通勤をしないといけないという条件を外すだけで、再びエンジニアとして活躍できるなら、在宅ワーカーとしてやってもらえれば良いと考えています。

横内:-そうだったんですか。ちなみにうつ病になってしまう年代というのは大体どれくらいの年代の方なんですか?

豊福:大体30代後半から40代くらいの方が多いようですね。それくらいの年代で管理職を任されて適性がないためにうつになってしまったり、忙しい現場で体力の限界を超えてしまったりという人が多いと思います。

その年代ともなると業歴が10年以上あって高い技術を持っている人も少なくありません。良い腕を持っている人が在宅ワークだからある程度安く仕事をしてくれるので、高品質なシステムを低価格で提供する事ができます。

しかし、当社では短納期の案件はお受けしていません。当社のエンジニアは、時間的に過酷な労働のせいでドロップアウトしてしまった背景があるので、納期に余裕を持たせていただけるのであれば、低価格で高品質な開発ができますというようなメッセージでお客様に接しています。

横内:-今まで光の当たらなかった人に光が当たるようになっているのですね。とても社会的意義のある取り組みだと思います。しかし、IT業界というのは同僚が何十人も倒れていってしまうような労働環境が一般的なのですか?

豊福:一般的とまで言えるかはわかりませんが、システム開発の現場では連日連夜、徹夜を強いられたりするような状況はよくあります。特定の会社がということではなく、業界全体としてそういう傾向があります。

好きな仕事を安心してできるように

横内:-そういった状況に問題を感じ、取り組まれているのですね。それではこれからこの取り組みをどのように展開していこうというビジョンはありますか?

豊福:私の見解として、うつ病で働けなくなってしまう人は残念ながらこれからも減っていかないと思っています。現在、政府主導の働き方改革がありますが、知識労働者にフィットしていないと感じています。仕事の成果が必ずしも時間数に比例するわけではないので、労働時間の制限を単純に受け容れるわけにいかないというのが企業の実情でしょう。

理由はそれだけはありませんが、長時間労働となる現場はあまり減らず、うつ病になってドロップアウトしていく人も減らないだろうと思っています。なので、弊社のようにハードワークをしなくても好きな仕事が安心して出来る環境があるということを知っていただければと思っています。

そして、業界からドロップしてしまった方だけではなく、ITエンジニアという職種の人たちにとって本当に働きやすくて好きな事が仕事に出来る職場環境を作る。そうする事が、大きく言うと、この国を下支えする事にもなると感じています。

横内:-IoTなどのIT技術の改革が進む中、これから特に重要視され、人手が足りなくなる業界ですからね。

豊福:というより、既に万年人手不足の状態で、仕事が長時間に及んできついというイメージがついてしまい、新しくこの業界を目指そうとする人も減ってきているように感じます。

さらに、日本では欧米に比べてITエンジニアの賃金が安いので、英語のできる人だと海外で働くという話を私の周囲ではよく耳にします。特に優秀な人は出ていく傾向が強いのではないでしょうか。

横内:-人材の流出はこれからの情勢を鑑みると、国や業界の目線で見ても本当に大きな損失になってしまいますよね。その点でも社会的意義が大きいように感じます。そんな中、今後の具体的な動きとしてはこういった活動を知ってもらいながら広げていくという形になりそうですか?

豊福:そうですね。現在は障害者の就労支援施設とタイアップしてITエンジニアの経歴がある方がいらっしゃったらご紹介いただくといった流れを作っています。先ほども述べたとおり、障害者やうつ病の経歴を持った人ばかりではなく、健常者にも自由な働き方を提案していきたいと思っているので、広く人材を募っていきたいと思っています。

対IT業界という面ではそういった取り組みをしていますが、対顧客という面では中小企業にこそIT化が必要なのにも関わらず、ITに関する情報や技術、知恵といったものが届いていないので、リーズナブルな価格でそれらを届けていきたいと考えています。

日本は99%が中小企業と言われていて、ITの知識がないために生産性が低い企業が少なくありません。IT活用ができるかどうかは知っているか知らないかの差が大きいです。大変失礼な言い方で恐縮ではありますが、中小企業経営者にはITの知識がない方が多いです。そういった方々の力になりたいと思っています。

心身ともに健康で楽しく社会貢献

横内:-業界に対してという面では働きやすい環境などを作ることで貢献し、顧客という面では中小企業にITの知識を伝えることで貢献するという関係にあるんですね!
では最後に企業の最終的なビジョンとして掲げていらっしゃる【人々が仕事を心底楽しんでいる世界】についてどういった想いが込められているのかを教えてください。

豊福:今は仕事が辛いものという捉え方の人が残念ながら少なくない状況です。そんな中で仕事をしていたらうつ病を発症するのも無理からぬこと。環境や自分のワークスタイルを変えることで心身ともに健康で楽しく社会貢献ができたら良いなといった想いからこのビジョンを掲げさせてもらっています。

横内:本当にそうですね。楽しく仕事をして社会貢献するというのはとても大切なことだと思います。本日は貴重なお時間を割いてお話をしていただき誠にありがとうございました。

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<プロフィール>黄瀬光晴

合同会社 鷹睡
代表社員 豊福 良太
http://www.yousui.co.jp/aboutus/
1978年東京都生まれ。
横浜国立大学工学部卒業。
(株)ベンチャー・リンク、(株)ラスクを経て独立。

システム開発の現場に於いて数々多くのエンジニアが鬱病を患い、業界からドロップアウトしていく状況を目の当たりに。
元鬱のITエンジニアを在宅ワーカーとして雇用し、高品質低価格なITサービスを提供している。