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横山一八氏 自分の身体と上手に付き合う、その支えに

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自分の身体と上手に付き合う、その支えに

栃木県那須塩原市に、介護・病気予防に取り組む調剤薬局がある。管理者を務める横山一八氏は、薬剤師と整体師という2つの顔を持つ。薬剤師として長年培った知識・経験を活かし、正確な情報提供に努めることはもちろん、整体の施術や、生活習慣の改善アドバイスを通じて地域の人々の健康をサポートする。「病気予防に取り組み、健康寿命を長くしたい」と語る異色の薬剤師、横山氏のめざす姿とは。<編集部より>

横山一八氏 有限会社至誠堂 すまいる薬局 薬剤師・整体師


薬剤師として、健康をトータルにサポート

有限会社アップライジング 代表取締役 齋藤幸一(以下、齋藤):まず、本日は横山さんのこれまでについて聞かせていただけますか。

 
有限会社至誠堂すまいる薬局 薬剤師・整体師 横山一八(以下、横山):1948年に亡くなった私の祖母が当時東京都三鷹市にあった至誠会第二病院の看護師長で、その傍ら至誠堂薬局を開業しました。その後、私の父が引き継ぎ、経営を始めたのです。
私はずっと東京の中野で育ちました。

 
齋藤:中野って良い街ですよね。

 
横山:父は釣りが好きで、特に鮎釣りが好きでした。中野にも釣り仲間がいて、栃木県の那珂川(なかがわ)など、いろいろなところへ鮎釣りに行きました。
父は次第に、悠々自適に生活をしたいなと考えるようになり、1989年に東京から栃木へ転居しました。
私は、その間に大学を卒業し、岩手県や宮城県で働いていました。盆暮れぐらいしか実家には帰省しませんでしたね。
その後、妻と結婚した頃に、母が脳梗塞になり、2004年に私も栃木へ引っ越してきました。
栃木で薬局をやろうと思い募集をしましたが、誰も来なくて。
仕方がないので父の知人の薬剤師さんと、宮城で働いていた時の知り合いの先生とで薬局を始めました。
3年前ぐらいから私が母の介護を行わなければならなくなり、それ以来、薬局は私1人でやっています。

 
齋藤:他県でも、薬剤師として仕事をされていたのですか?

 
横山:はい。薬剤師の免許を持っているだけでは、病院や会社への就職しかできません。調剤薬局を営むには、保険薬局薬剤師の登録が必要です。
岩手の時から登録をしていましたので、移行手続きだけで済み、ある程度は順調に来ていました。
しかし、2016年度の診療報酬改定(2016年4月1日施行)により、全国の薬局の半分くらいまでが倒産に追い込まれるのではないかと言うくらい、厳しい状況になるかもしれません。
厚生労働省が「かかりつけ薬局」を普及させようとしています。患者の安全性に配慮しながら医療費を抑えるのがねらい、と言われていますが、「かかりつけ薬局」とは、地域に必要な医薬品等の供給体制を確保し、その施設に従事する「かかりつけ薬剤師」が、患者の使用する医薬品の一元的かつ継続的な薬学管理指導を行っている薬局のことです。
2016年度診療報酬改定の調剤報酬に、「かかりつけ薬剤師指導料」が新設されました。「かかりつけ薬局」が受け取る報酬を優遇するこの方法では、そのシステムを取らないと、指導料を得ることができません。それは売り上げに直結します。
「かかりつけ薬局」の条件の一つに、夜間・休日を含め、電話相談や調剤等の必要な対応(24時間対応)を行う体制を確保することがあります。
24時間営業とは、1日中働くと言うことでしょう?それは現実的に難しいことです。
健康志向ブームもあり、患者さんも軽い症状では病院へも行かなくなるでしょう。
具体的には、薬局でも患者さんの争奪戦になると思います。さらに、患者さんの取り合いが続くのは大体あと20年くらいで、その後は人口減が起こりますから、どの業界でも大変です。
私もそうですけど、インターネットで何でも買えるようになり、そもそも実店舗が要らなくなるでしよう。
それらを背景に、今後の展開としては、薬剤師としての知識を利用しつつ、患者さんたちへのアドバイスをしていくことですね。

 
齋藤:と言うと、病気の予防ですか?

 
横山:やっぱり健康をトータルにサポートをしていく事業展開をしなくては、と思っています。
まず、始めに・・・。

 
齋藤:整体師ですね。

 
横山:整体師です。妻のために着付け教室用として空けておいた部屋が元々あって、自分のための施術部屋にしようかなとも思っていたのですが、妻もイトオテルミー(温熱刺激療法)を学んだので、そのための部屋に作り替えてしまいました。

 
齋藤:薬剤師もしながら、整体師もやっていこうと思われているのですね。

 
横山:将来的に、薬局業務は私1人でではできないので、業務提携もしくは譲渡などの形で交渉を進めています。(取材後、すまいる薬局は閉局へ)

自らの不調を契機に、身体のメカニズムを学ぶ

齋藤:横山さんが薬剤師でありながら、整体師もめざそうと思われたきっかけはどのようなことだったのですか?

 
横山:きっかけはオートバイです。現在は倉庫に眠っていますが、以前、スズキの400ccのオートバイに乗っていました。
新車の時に、格好つけて革のつなぎを着てね。革って、最初は硬いじゃないですか。身動きが取れなくて、恥ずかしながら転んでしまったのです。左腕をひねってしまい、その時薬剤師として勤務していた病院の整形外科の先生に診てもらいました。
骨に異常はなかったので、「筋肉痛でしょう」と言われました。「腱が伸びているので、冷やしておけば治るよ」みたいなことを言われて、湿布で処置をしたのですが一向に治らず、激痛に襲われました。
そしたら、同じ薬局に勤めていた女性の薬剤師さんから教えてもらったこと(ここは、どのように記載したらよいでしょう)を2回行ったら、元の状態に戻ってしまいました。
これは一体何だと。西洋医学イコール正しい学問って思っているのが崩れました。
学んできた西洋医学以外に、このような世界もあるんだなっていう発見がありました。
そのような積み重ねで、最終的には整体師になり、人間の身体のメカニズムを学びました。
多方面の勉強をして、病気になりにくい体になるための知識を積み重ねていきました。
各薬局でアドバイスもしてきました。
もうちょっと深く勉強して、総合的にまとめたものをブログに載せて、病気予防サロン的にやっていこうかなと思っています。
本来は、薬剤師だけで食べていければよいのですが、私の個人的な意見としては、名だたる大企業でも先が分からないような世の中なので、これからは個人がしっかり芯を持って、情報発信していかなければいけない時代だと思います。

患者に寄り添い、薬の適切な使用法をアドバイス

齋藤:珍しいですね。お医者さんから処方せんが出て、そのお薬を出すことが、薬剤師の仕事と思われていますよね。

 
横山:私は、「病気にならないためには何をしたら良いのか」ということをアドバイスしていきたいのです。

 
齋藤:整体師としては、例えば「ちょっと体が痛い」と言われる方に、何かが足りないんじゃないのかとか、ちょっとお酒の飲み過ぎなんじゃないのとか、ちょっと疲労が溜まっているんじゃないのとか、栄養のバランスが崩れてるよねとか、そのようなアドバイスを個々に実施することによって、投薬が必要な病気にならないよう、アドバイスをしていきたいと言うことですね。

 
横山:薬の効率を上げるためのテクニックを教えるのが、薬剤師の仕事だと思っています。
お医者さんって、どこの地域に行ってもそうなんですけど、薬剤師からいろいろ言われると、面白くないわけですよ。
診察の際に、「良くしてくれる薬剤師さんがいます」みたいなことを言われちゃうと、医師がカチンと来るようなこともありますね。そのあたりのバランスがちょっと難しいです。
患者さんにしてみれば、医師はいつも忙しそうにしているし、険しい顔をされている方が多いので、薬剤師のほうが身近だし、話しやすい、という感じになりますよね。
だから、それを突き放すような態度は取れません。少しでも救い上げたいと思って、これまで私はやってきました。

 
齋藤:そんな薬剤師さんがおられるのですね。

 
横山:私としては、普通のことだと思っています。
例えば、眼科。目薬を差す時は、薬の容器をただ押せばいい、と思う方がほとんどじゃないですか。けれど、目薬って容器の真ん中を押しちゃうと、微妙に指に力が入って、ピュッと出ちゃいますよね。狙ったところの真ん中じゃなくて、目頭や目尻に行ってしまうと、落ちるところがずれる場合があります。それを、「容器の底を押すんですよ」って教えてあげれば、必要な分が出ます。
もう一つ、角度の問題で、座ったまま目を開けてやる方がほとんどなんですけど、そうすると、目に対しては斜めに入ります。どうしても、輪投げと同じような原理で、放物線を描くように、液体もずれるんですね。だから、100%真ん中に行かないんですよ。
それを、「基本は垂直だよ」って教えてあげるんですね。すると上手く入るんですよ。
ですから、「初めから寝てやってくださいね」と、教えてあげるんですね。おじいちゃんやおばあちゃんは素直に、聞いてくれます。
大事なのは、まぶたの裏と白目の結膜っていう粘膜から薬剤は浸透しますので、1~2分ぐらい、じっと目をつぶっていてくださいと。できれば5分ぐらい目をつぶっておいたほうが、本当は100%近く吸収するんですよ、と教えます。
そのようなことを教えている薬剤師が、実はほとんどいないのです。

 
齋藤:私も、初めて聞きました。

 
横山:そのような適切な使い方をアドバイスすることによって、薬の効果が上がるし、副作用も防げます。
さらに目に関して言えば、緑内障(目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経に障害が起こり、視野が狭くなる病気)は治療が遅れると、失明に至ることもあります。
緑内障をコントロールする薬剤が、これまた微妙な量なのです。ちゃんと目薬を差さないと、決められた量の薬が入りません。
眼圧(目の中には栄養を運ぶ、房水と呼ばれる液体が流れており、目がものを見るためには眼球に適度な張りが保たれていなければならず、その張りは房水の圧力によって保たれており、これを眼圧と言う)と言う数値があります。
眼圧には、10から21っていう正常値の幅がありますが、21を超えてしまう人は、ずっと下を向いてデスクワークをしていたり、草むしりをしたり、あと、お酒が好きで毎晩飲んでいたりすると、むくんできます。水分過剰になりますから、眼圧が上がってしまいます。そうすると、目の奥の方の眼球の視神経を圧迫するので、視神経に障害が起きてしまいます。
その視神経が、脳から直接でてきている背骨の神経と同じ中枢神経なので、1回押されて圧迫されると傷んでしまいます。傷むということは、入ってきた光の映像の刺激が、脳の神経を通って、脳の後頭部へ伝わらなくなるのです。
このような経緯で、視野が欠けて、やがて失明するというメカニズムなんですよ、と患者さんにも時間がある時には丁寧に説明します。
きちんと目薬を差した結果、眼圧の異常値が12~13に戻ったと言われて、喜ぶ患者さんもおられます。
そのようなことを教えてあげると、患者さんもその病気に対して向き合うじゃないですか。真剣にやろうとするじゃないですか。
結局、私はその人の人生を背負っているわけじゃないから、適当にやっても良いような立場ですが。
でもやっぱりプロフェッショナルですから、効率良く、その人に合ったやり方をお伝えするのが仕事だと思っています。
患者さんに合わせて、お忙しい方にはそこまで説明しませんし、「お薬どうぞ」と帰してしまうこともありますが、聞いてくださる人にはしっかりと説明します。
そのようなことを、これまで10年間やっています。
患者さんの既往歴などを把握してから話さなければいけない場合もあります。過去には、僕の失敗例もいろいろあります。
その方とお話しさせていただき、用法が合えば、いろいろと話します。
お薬の話って言っても、大体の場合は同じお薬が出ていますから、毎回同じことを聞くのはいかがなものかと思います。ですから、何か目新しい情報はないか、と探しながらやっています。大切なのは、相手の様子を見ながら話することです。

健康寿命を延ばすには自らの予防が大切

齋藤:本来、医療関係者って、そう言うものですよね。
どんなふうにしてあげたら、症状が良くなるのか?それが当たり前のことと言うか、公益な義務。

 

横山:義務っていうか、処方された薬を出して、精算して終わり的な感じになってますよね。
本来は、その人たちがどうやったら健康を取り戻せるかっていうのを、お医者さんや薬剤師さんが話したりとかするのが本来の目的ですよね。本来、そういう姿であってほしいなと。
いつの間にか、お金が先行したり、タイムイズマネーと言う風潮になっています。間違った医療と言うか、そのような医師が残念ながらが増えてきてしまっているというのも、一つの事実ですよね。それを教える指導者もいないのです。難しいことですね。
間違えてはいけないのが、自分の知識を出しすぎて、患者さんの気持ちをないがしろにするっていうのはしたくないです。
だから、そこのベースの部分をどうするかなんですよね。それは、結局コミュニケーション能力だと思います。
これからの薬剤師は、専門家であることが必要です。
今の時代、患者に触れないと言う医師もいますが、自分はそういう世界ではなくて、常に患者さんや、弱者の人たちと同じ目線で、もしくはちょっと下がった位置で、見てあげたいなという気持ちでいます。
難しい部分もありますが、基本スタンスとしては、そのような形で対応はしているつもりです。

 
齋藤:現在、日本全体でもこの健康寿命(健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間)をどうやって伸ばしていこうか、と言う取り組みがされていますね。
健康寿命が長ければ長いほど、長く働ける訳です。働く寿命が長くなれば、寝たきりになる人もきっと減少するでしょう。働けば、納税もしますよね。
日本の現状を何とか打開していくためには、やっぱりこの健康寿命を延ばしていくことがとても重要になってくると思います。
そこで、例えば横山さんがされている、薬剤師と整体師の組み合わせは、健康寿命を確実に延ばせる一つの取り組みになり得るんじゃないのかな、と私は思います。

 
横山:一つの核になるとは思いますね。
「これまで学んできたことがすべてて正しい」と思っているとしたら、もう大間違いです。正しいと思っていることを、もう少し検証して、見つめ直すべきだと思います。
その上で、個々の発信が重要だと思います。
私、薬剤師ですが、残された人生は、自分の本当にやりたいことをやりたいなと思っています。
一番にやることは、やっぱりこれですね。本当に断薬師みたいな感じの活動をしていきたいなって思います。
真実に対して向き合い、ちゃんとした知識を得ることです。自分で予防というか、対処すれば良い話なんです。それを押し付けるつもりは、一切ありません。ただ、正しい情報を、タイムリーにお伝えしていきたいなと思っています。

 
齋藤:横山さんは、本当の医療関係者ですね。
本当に世の中を良くしたい、健康寿命を長くしたいと思っているのですね。要らない薬は、なくそうということですね。

 
齋藤:そういう先生が増えてくることが、すごく重要ですよね。

 
横山:はい。一人ではできないので、仲間が増えてくれればよいと思います。

 
齋藤:横山さんのその考え方に賛同される方は、いらっしゃいますか?

 
横山:まだ、活動していないので何とも。

 
齋藤:これからですね。

 
横山:はい。そういう場をちょっとずつ増やしていけたらと思っています。

 
齋藤:まずは、整体ですね。

 
横山:お店を構える形態ではなく、移動できる形態にしたいと妻と話しています。
これからは高齢の方も増えるし、どこへでも行って治療ができますから。
来たくても来られないという人が増えてくるじゃないですか。それならば出向いていく形が取れます。
妻の方法は温熱療法なので、ちょっと煙が出たり、お香の様な匂いがしたりと言う特徴もあります。

 
齋藤:素晴らしいですね。

 
横山:そんなことないです。普通にやってきているだけです。
これまでは、大学卒業して、親が薬局やっていたから薬剤師になったと言う感覚だけだったんですけど。病院に勤めたり、お店をやったりと、少しは親孝行ができたかなと思っています。
あとは予防医学という分野で、総合的にやっていきたいと思っています。最近、病気予防の整体事業部を一本化し、アンチエイジングサロンも開くことができました。

 
齋藤:本日は貴重なお話をありがとうございました。

【在り方Webより 横山一八氏【至誠堂】自分の身体と上手に付き合う、その支えに

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<プロフィール横山 一八氏

有限会社至誠堂 すまいる薬局 薬剤師・整体師
1988年3月 帝京大学薬学部生物薬学科 卒業
同年6月 国家資格 薬剤師 免許取得、マルホ株式会社 MR(医薬情報担当者)
1996年 盛岡友愛病院、1999年 株式会社仙台調剤を経て2004年6月 有限会社至誠堂 設立 すまいる薬局 開局
2005年12月 すまいる薬局 那須塩原市に移転
2016年5月 すまいる薬局 閉局、同年6月有限会社至誠堂 整体事業部 一本化 アンチエイジング サロン むげん(夢源)開所

<インタビュアー齋藤 幸一氏

有限会社アップライジング 代表取締役
1975年11月14日、栃木県宇都宮市生まれ。作新学院高校英進部から法政大学経営学部へ進学。高校、大学時代にはボクシング部のキャプテンを務めた。
プロボクサーとなるが24歳で引退後、2006年、有限会社アップライジングを設立。
現在、代表取締役社長に就任し、世界中のタイヤ関係者が修行に来る中古タイヤ屋さんをめざして、新たな世界を極めようと日々奮闘している。